「怖いよ!」「寒いよ!」
僕が日々認知症の方と関わっていてよく言われる言葉です。
「あの痴呆症の人はどうにかならないの?」
認知症ではない、比較的しっかりとされた他の患者様は少し不機嫌な様子。
どうしたら理解してあげられるのか、また接し方を変えるだけでどう変わるのか説明できたらと思います。
認知症と物忘れ
老化による物忘れと違い、脳の働きが低下した状態です。職業柄脳画像も見ていますが、認知症の方は脳の萎縮が著名であると言えます。
ひどい物忘れ
という表現の仕方もありますが、以下の表に示すと違いがわかるかと思います。
ヒントがあっても思い出せる=エピソードを部分的に覚えている
ヒントがあっても思い出せない=エピソードが丸ごと抜けている
同じようで違うのがわかるでしょうか?段々と会話が成立しなくなってくるのが認知症の方です。
認知症の症状
以下が脳の働きが低下して起こる、中核症状です。
全ての認知症の方がいずれかの症状が現れます。
発見しやすいのはやはり記憶障害になってきます。
昨日の夜ご飯は何を食べたかしら?
は物忘れ
昨日夜ご飯食べたかしら?
は認知症の症状
と思ってもらえるとわかりやすいかと思います。
他の障害も軽く解説すると
判断力の低下
誰が見ても明らかな場面での判断が行えない
「歯磨きをしてください」と声をかけてもスプーンを選ぶ
理解力の低下
会話が噛み合わなくなる。
こちらが話しかけると納得したように頷いているが、返答は違う話題。
見当識障害
現在の年月日、曜日、時間が曖昧になる
自分が今いる、都道府県、市町村がわからない
実行機能障害
長年主婦として料理を毎日していたけど、味噌汁が作れなくなった
という症状が現れます。
みなさんが思い浮かべる認知症像はそれぞれだと思いますが、程度にかなり差があるなかなと思います。
関わり方で変わる根拠
先ほど記したのは中核症状。
これから話すのは認知症の方の
- 環境
- 体験
- 気質
などから現れる周辺症状と呼ばれるものです。
この周辺症状、介護する方は大変だよ。。
そう思いませんか?
かなり簡単に言いますよ?簡単に言います。
ただ周辺症状と呼ばれていて、環境・体験・気質から現れると。てことは周りの人間が環境を整えて、良い体験をさせて、本人の性格を尊重してあげられれば治るんです。
かなり簡単に言いました。
体験は残ってる?実はこれが肝です
環境・体験・気質から現れる周辺症状
環境と気質はなんとなく分かっても体験て何?
って疑問に思っている方もいると思います。
実はこの体験がかなり重要になります。
もう何回も言っています。
しつこいかもしれませんが、認知症の方はエピソードごと抜け落ちてしまっています。
しかし、この人にこんな場所でこんな事をされた記憶はなくても…
- 嬉しい
- 楽しい
と言った感情は残ります。
逆にいうと
- 怖い
- 嫌なことをされて不快な思いをした
といった感情も残ってしまいます。
気付いた方もいますかね。
認知症はこちら側の接し方、関わり方で攻撃的になるか穏やかに過ごせるか決まってきます。
とはいえ。綺麗事でしょ?と言われればそれまでです。
実際こちらが優しく丁寧に接しているのに、暴言暴力、唾を吐かれる等…
こんなことされたらやる気がなくなるし悲しくなります。正直。
僕は入職してから何度も経験してました。慣れてきた部分もありますが本音を言うと切なくなります。
だって頑張ってるもん。
ニュースで介護士の方が暴力をして云々。
こんなニュースが流れてきたとき、多くの人は「何してるんだ!!」と思うでしょう。
ただ実際に経験すると気持ちがわかってしまう自分がいます。
ただこちらの気持ちが切れてしまっては相手の気持ちは絶対に変わりません。
これは絶対です。
全て綺麗事ですがこれができるか否かで相手も穏やかになり、こちら側も心身共に楽に過ごすことができます。
優しく関わる根拠がわからなかった方、これを見て少し役立てていただければと思います。
また、これは相手が認知症があるなしに関わらず。
ということも忘れずにいると人間関係に悩まなくて済むかも?しれません。